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Teddy Brown〜テディ・ブラウン〜 [xylophonist]

大きくて偉大なテディ・ブラウン。
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木琴黄金期に活躍した奏者の中で、動画もたくさん残っているので一番有名なのではないか、と思います。いくつかのネットや文献から集めた情報をまとめてみました。あえて「テディ」と尊敬と親しみの思いで書かせていただきます。
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(2021/12/21 修正)
(2023/04/17 修正)
【略歴】
テディ・ブラウン(1900年5月25日生まれ・出生児名;エイブラハム・ヒンメルブランド/Abraham Himmelbrand 1946年4月29日没)は、晩年の活動歴をイギリスに持つアメリカ人エンターテイナーです。

テディ・ブラウンはニューヨークで生まれ、わずか9歳の頃から様々な舞台で演奏していました。

プロの演奏家として、ニューヨークフィルハーモニックオーケストラで演奏活動を始めましたが、1910年後半にはポピュラー音楽のジャンルで活動します。ディーガン社製マリンバザイロフォン4726モデルを4本マレットで弾く世界的マリンバ奏者としても紹介されました。ジュリアス・レンバーグ・リバーサイド劇場オーケストラの打楽器奏者として活動歴もあり、1919年〜1920年にエジソンレコードで録音されたレンバーグバンドの録音では木琴奏者としての初期の演奏を聞くことができます。

木琴を最初に習ったのは、フィリップ・ローゼンワイグ(Philip Rosenweig)というツィムバロン奏者でした。そのせいか、テディのマレットの持ち方は、手の甲が完全に上を向き、腕をあまり上げず手首の動きだけで華麗なマレット捌きをしているようです。

1924年、ニューヨークホテルプラザで演奏するバンド、ヨーゼフスミス楽団のドラム奏者になり、1925年にバンドはイングランドのツアーへ。ロンドンには1926年に降り立ちます。
1926〜1927年、テディはロンドンにあったカフェ・ド・パリのバンドリーダーになり、英国でインペリアル社とヴォカリオン社のレコードを録音しています。キットカットクラブを含む、ナイトクラブで演奏を続けます。
そして、ソロ木琴奏者としてもバンドを伴奏にして複数のレコードを残しています。

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ブロードキャスト社のレコード『Fairy on the Clock』

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インペリアル社のレコード『美しく青きドナウ』

1927年、L.フォレストの発明したフォノフィルムのイギリス事業部は、テディが演奏する短編映画を作りました。
1929年にはシロクラブのバンドをリードし、パーシバル・マーキーバンドとハリー・ビグッドバンドと何枚かのレコードを作りました。
1930年代にはソロアーティストとして大変人気があり、イギリス国内あらゆるところで演奏し、ラジオ番組にも数多く出演しました。

1930年、イギリスでの卓越した演奏技術と活動歴で高い評価を得たテディは、A.ブルーネルとA.ヒッチコックが共同制作した映画「エルストリー・コーリング」に出演することになります。その映画は英国の初期映画作品として有名で、数々の映画とラジオショーが複合したような作品でした。「エルストリー・コーリング」でのテディの出演は当時、大変評判が良いものでした。作品内の3度目の登場は特に印象的で、木琴を正確に大変なスピードで演奏し、時には片手で演奏したり、後ろ向きに演奏したりしていました。
木琴の他にもテナーサックス、ドラム、と抜群のリズム感で人々を魅了します。彼の独特な演奏スタイルは、後にバンドリーダーとして活躍したスパイク・ジョーンズなど、他の打楽器奏者に影響を与えました。

1931年も引き続き、ラジオ番組、映画、そしてさまざまなライブステージで木琴を演奏をしていました。多くの聴衆に愛され、同年に英国王室が主催するチャリティ番組「ロイヤル・バラエティ・パフォーマンス」に登場します。テディは英国王室にも愛されたコメディグループ「クレイジーギャング」とも交流があり、しばしば彼らのジョークのネタにされていました。

約160kgの体重で印象的な丸い体格だったので、同じような体格の同時代の偉大な音楽家・ポール・ホワイトマンとしばしば比較されています。外見は豊満で粋でしたが極めて機敏で演奏しながら木琴の周りでダンスをする姿もよく観られました。

1940年、テディは妻と2人の子供たちとサセックス州、リトルハンプトンへ転居します。その家に「木琴の家」と名前をつけました。そして1946年、心臓発作の病で享年45歳でこの世を去ります。最後の演奏は1946年4月29日月曜日、ウォルヴァーハンプトン大劇場でした。出演後、妻が一緒に滞在していたバーミンガムのホテルに戻ると、気分が優れず、少し心臓に違和感がある、と伝えます。翌日朝5時、テディは息を引き取りました。

サセックスデイリーニュースでの賛辞で「彼の足取りを振り返ると、出会った人々の期待を裏切ることなく満足させた音楽家だったと言える。テディ・ブラウンはただ太っているというのではなく、比類のない『ビッグマン』であった」と綴られました。
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数ある動画の中で、特にお勧めのリンクです↓

【British Pathe】https://www.britishpathe.com/video/teddy-brown

【historicfilm】
https://historicfilms.com/search/?q=teddy%20brown&fbclid=IwAR2DwdgTpanq25lazkHgKpCfMiq-zLyYw_cT-QYtMcjqca6oWJiVAmlrtwg#p1t54897i1781o2380

ブリティッシュ・パスのアーカイブはどれも素晴らしいですね。
ヒストリックフィルムの方は、木琴漫談のような面白さ。テディの技術と音楽性の凄さが一目瞭然です。

以前、参加したボブ・ベッカーさんのセミナーで参加者に配布された資料の中に「Jazz Break」という、即興の中で弾くフレーズアイデア集のようなエキササイズがあり、彼の独特な音の選び方が垣間見えるような気がします。

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愛されて若くして亡くなったテディ・ブラウン。
多くの木琴奏者・打楽器奏者の憧れの的です。

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